メスティアに来たのは何も世界遺産が見たかったわけではない、(まあ見たかったが世界遺産見に来たミーハーではないと強がりたい)トレッキング、登山、とにかく歩きたい、未知なる自然を体験したい、未知なる世界へ挑戦したいと強く思ったわけである。
しかし私達には6歳と8歳の女子が付いている、しかもなかなかに癖があり弱音も暴言も吐く
当初は体力的に厳しいだろう、1300メートルの高低差と片道4時間の登山はいくらなんでも無理だろうと、行きたいけど、諦めざるを得ないと思っていた。
しかし前日の2400メートルのウシュグリ村から氷河までアップダウンが結構ある山道を歩いてみて、
なかなかにいけたし、その後も平気で公園で遊んだり犬と駆け回ったりしていたのを見ると結構行けるのではないかと期待が膨らんだ。
あいにく翌日は天気が悪く雨が降っていたのでコルルディ湖には出かけられなかったが、この1日を更なるトレーニングの時間にしようとメスティアの街の高低差がある場所をずっと歩いた。(メスティアでも2000m以上ある)
そしてその翌日早朝からスタンバイし天気は怪しくはあったが雨は降っていなかったので、途中で帰ること、ギブアップや途中離脱も十分考慮に入れた上でアタックを開始した。
天気は何とかもってくれていたが、序盤からの予想以上の山道の急な登りを行くので子供達は早くも弱音を吐き、ありとあらゆる暴言を吐き、逆切れをし、泣きわめき、グダグダになった。
それでも泣きわめく体力がまだあるということだし、そんなことしながらも付いて来るので涙が枯れ、何も話さなくなるまで進み続けたが、それが落ち着くと最初に次女がゾーンに入りグイグイ付いて来て、長女が泣きわめき、終了後ゾーンに入るというのを2回は繰り返した。
そうこうしていると広い道に辿り着き、展望台と十字架がある見晴らしが最高の場所に着いた。
ここから先は道がそこまで険しくないと事前情報では得ていたから、しめたものだと一安心した。
しかしそこからが僕らにとっては過酷だった。
はじめのうちは良かったが、登るごとに天候が悪化し雨が降り出し、気温がどんどん下がって行った。薄手の上着しか持ってこなかった僕らは動いていれば良いが少しでも休憩すると寒さでやられ、休むこともできない。
最後の500mの登りが急で霧が出てきて視界がかなり悪くなってきた。
雨も強くなってきて、なかなかに悲惨な状況下で一歩一歩が相当重い
こんな状況下でも子供達は泣き言を大声で言うのでこいつらは大丈夫だろうと安心はするが、今度は大人達が体力的にやばい。
パートナーの足取りが相当重そうで休憩したいと言うが、休憩したら動けなくなりそうなので無理矢理にでも登った。
やっとコルルディ湖に到着した時には霧で視界がほぼ0で目の前の湖が見えないほどだった。
雨、風も強く相当に寒い(地上は日中25度ぐらい体感温度は30℃を越えていたが、ここは10度なかったかもしれない)
それでも子供達はお腹すいたーーっと叫ぶので、かなり降っている雨の中濡れながら急いでパンとクッキーを食べた。
思いのほか食べ物を口に入れたことで僕の体力は一気に戻り、自分でもびっくりするくらい、仙豆を食べて回復した悟空のようになった。
それでも雨や風は止まなく、霧は少しはれてはきたが、状況は最悪で別の湖に行く体力もパートナーは残っていない様子だったのでせっかくここまで登ってきて何も写真も撮れなかったが仕方なく下山した。
もっと温かい恰好、装備を整えてくれば良かった、登山は装備が大切だと言うことを学んだ。
下山する体力を心配したが、さっきまでの神妙な状況はどこ吹く風
子供達は下山し始めたら急に元気になり、歌まで歌い出し大声でしゃべりだし、笑顔まで出て来た。
全くの別人になったと思えるほど、急に元気がもりもり出てきて凄い勢いで下り始めた。
「騙された―、その体力はどこにあるんだー」っと叫びたくなるほど下山は終始子供達のペースで運び、こっちが怖くなるほど陽気に軽々と下って行った。
すれ違う人に挨拶をしながら、しりとりをしながら、ズルズルと滑りながら、水晶を探しながら明るく女子トークしながら下った。
そして宿に帰り犬と駆け回り、夕食前と後に公園で遊んだ。
「子供の能力を侮ってはいけない」
身体が小さいから、筋力がないから登山は無理だって誰が決めたんだ??
そりゃー泣くでしょ、そりゃー無理だって言うでしょ、まだやったことないのだから。
やってみて本当にダメだったら、やり切って本当にダメだったらやめれば良い、諦めれば良い、でもやらないうちから自分でダメだって決めるな、絶対無理なんて言うな
という言葉が浮かんで来た。
大人達はその後3日以上筋肉痛で苦しみ、子供はけろっとしていた。
よーし更なる挑戦を続けよう!
それにはまず大人ももっと鍛えないといけない。
子供には負けないぞーー