なぜ今、ジョージアの外に出るのか?
ジョージア移住のメリットとデメリットをより深く、そして公平に掘り下げるため、僕は18日間にわたりバルカン諸国(セルビア、コソボ、モンテネグロ、アルバニア)への視察旅に出ました。
特定の国に長く居続けることは、生活を安定させる一方で、視点を「近視眼的」にしてしまうリスクも孕んでいます。
変化に鈍感になり、他国との比較検討ができなくなれば、コーディネーターとして公平な判断や俯瞰したアドバイスができなくなってしまいます
自らの時間と資金を投じて他国を視察することは、僕自身が「初心」に帰る機会であり、またジョージアの移住下見・ビジネス視察ツアーに参加されるお客様の「不安」や「期待」に寄り添うための研鑽でもあります
今回は、「移住」という枠組みでバルカン4カ国とジョージアを比較し、改めて浮き彫りになった「ジョージア移住のリアル」を分析します。

比較検証①:物価とコスパの真実
〜「ジョージアは欧州一安い」は本当か?〜
「ジョージアの物価はヨーロッパで一番安い」「コスパ最強」という説は、現在の状況でも通用するのでしょうか。
単純な物価の安さで並べると、今回の視察では以下の順序となりました。 コソボ > アルバニア > セルビア > モンテネグロ(右に行くほど高い)
ジョージアはこの中で、トータルで一番安いと感じました(コソボよりも若干)
比較した場合、以下の点において優位性(安さ)を感じました。
・交通費(人件費が安いからなのもある)
・通信費(無制限で月2,000円以下、主要都市での繋がりやすさはジョージアが便利)
・野菜・果物(安くて美味しい)
・ワイン・ビール(現地生産品)
一方で、「肉」に関してはバルカン諸国に軍配が上がります。
コソボやアルバニアなど肉食文化が根付く国では、牛肉の価格とクオリティがジョージアよりも優れていました。
ファーストフードにおいても、そこら中で鉄板で焼きたての肉を挟んだ手作りバーガーなどがあり、ジョージアよりも安くて美味しいものが手に入り、ファーストフードというよりも立派なバーベキューや焼肉としての料理として美味しいです
【住居費の現状】
どの国も首都の家賃高騰は著しく、トビリシも決して「コスパが良い」とは言えない状況です。
第2・第3の都市であればまだ可能性はありましたが、EU加盟を目指して洗練されていくにつれ、セルビアなども含め全体的に相場は上がっています。
「西側につくか、東側につくか」。この方向性が、今後の物価を左右する大きな要因となると感じます
EUからの支援が入り急激に発展するコソボなどの例を見ると、ジョージアもEU候補国としての道を歩む以上、物価上昇は避けられない流れと言えます。
比較検証②:治安と社会の安定性
〜「多様性」のバルカン、「結束」のジョージア〜
治安面はいずれの国も良好な印象を受けましたが、背景には大きな違いがあります。
バルカン諸国は内戦の記憶が新しく、民族間の感情や宗教の違い(イスラム教、正教、カトリックなど)が複雑に入り組んでいます。
若者を中心としたデモや意見の衝突も見られ、異文化が隣り合わせで存在する緊張感も発言に躊躇する空気もいまだに感じます
対してジョージアは、独自の文化・言語・文字(ジョージア文字)を共有し、ジョージア正教という精神的支柱によって国民が強く結束しています。 「ジョージア人としてのアイデンティティ」が確立されている点は、外国人として暮らす上での治安の良さ、社会的な安定感に繋がっていると感じます。

比較検証③:言語の壁
〜移住における最大のハードル〜
今回、最も大きな違いを感じたのが「言語」です。
バルカン諸国は地理的・歴史的にローマやオスマン帝国の影響を受けており、言語もラテン語系やスラブ語系が混じっていて工夫すれば通じます
アルファベットやキリル文字を使用しているため、なんとなく読むことができ、英語の通用度もジョージアに比べて格段に高いことに驚かされました。
一方、ジョージア語は独自の文字体系を持ち、英語や周辺言語ともかけ離れています。
・看板や標識が読めない
・発音が難解すぎる
・地方では数字すら英語が通じない
ジョージア独自の文化は素晴らしい「レアリティ」ですが、生活のセットアップや地元の人々との交流において、言語の壁はバルカン諸国よりも遥かに高いというのが現実です。
この言葉の壁がジョージア移住にとって一番のハードルとも言えます
比較検証④:生活の利便性と宗教観
〜「日曜日に店が開いている」ことの価値〜
生活リズムや利便性は、その国の宗教観に大きく左右されます。
バルカン(コソボ・アルバニア等): イスラム教の影響が強く、豚肉がない、アルコール禁止の宿がある、早朝のアザーンで目が覚める、ラマダーン期間中の変則的な営業など、日本人にとっては「不便」と感じる場面も多々ありました。
EU諸国・モンテネグロ等: 日曜日はスーパーや市場が閉まる習慣があり、計画的な買い出しが必要です。
その点、ジョージア(ジョージア正教)は日本人にとって生活しやすい環境です。 アジア諸国のように日曜日でも多くの店が営業しており、営業時間も長い。
クリスマスやイースターの日程が西洋とずれるため、年末年始やクリスマスも店が開いていたり便利です。
「いつでも必要なものが手に入る」という環境は、長期滞在において大きなストレス軽減になります
ジョージアはヨーロッパ的というよりはアジア的な生活様式だと僕は感じています

比較検証⑤:自由度と規制
〜失われつつある「最後の楽園」か〜
旧ユーゴスラビア諸国では、汚職問題や政府への不信感、独立後の不安定さを肌で感じました。
EU加盟を目指して規制が強化され、期待していたほどの「自由度」は感じられませんでした。
ジョージアはこれまで、世界的に見ても稀有な「規制が緩く自由度の高い国」でした。しかし、この優位性も徐々に変化しています。
2026年以降、EU準拠の法律や規制が適用され始めれば、外国人に対する扱いも変わってくるでしょう。 「何でもあり」だったジョージアの自由さは、国が成熟する過程で少しずつ失われつつあります。
(来年の3月からガラッと変わる予定です)
まとめ:ジョージア移住の本質とは
もともとは、スペインとジョージアの間にある「5つ目の拠点」を探すための視察でしたが、結果として「ジョージア(特にクタイシ)」のバランスの良さと独自性を再確認する旅となりました。
ジョージア並み、あるいはそれ以上にコスパが良く、自由で、食が美味しく、独自の文化がある国を探すのは、一筋縄ではいきません。 今回改めて感じたのは、以下の3点です。
1.一度の視察では分からない:
一度の下見では「気に入ったか、気に入らないか」くらいしか分からなく、メリット&デメリットというよりは、生活する本人達が何を求めて、どういう要素でそこを選びたいかを深堀し、実際にそこに住んでいる自分の感覚に近い人の話も聞きつつ、次のステップとして試住してみるのが必要だと感じました
2.独自性は諸刃の剣:
ジョージアのユニークさは、魅力にもなれば、言語のような壁(デメリット)にもなります。
そこをどう受け入れ活かしていけるかは生活する本人達次第で、そういう部分も含めて予め分かっておく(心構えをしておく)、そのために視察&下見することは重要だと感じました
3.「ふるさと」としてのジョージア:
現在、スペインに滞在中ですが、私たち家族はジョージアの滋味深い野菜、果物、ワイン、ジョージア料理、独特の文化・伝統・慣習、そして豪快で愛情深い人々をすでに恋しく思っています。
ジョージアは既にみんなの故郷であり、そう思わせてくれる国です
「ふるさとは遠きにありて思ふもの」
離れてみて初めて、その国の良さも課題も冷静に見えてきます。 いきなり完全移住を目指すのではなく、まずは視察や短期滞在で「自分達に合うか」を確かめてみてください。
「ジョージアよいとこ一度はおいで」と言いますが、一度来なければその空気感は決して分かりません。(とてもじゃないけどいきなりは住めません)
次回は2026年春に、移住下見&ビジネス視察ツアーを開催します。
皆様にも、この「リアル」を現地で体感していただきたいと考えています。
4月上旬にジョージアへ戻り皆様をお待ちしております
いつでもリモート対応しておりますので、何でもご相談ください