僕らはジョージアの長い夏休み中(6月末から9月中旬ぐらいまで)にジョージア中の観光地を周った。
メジャー観光地も沢山行ったが、どちらかと言うとまだメジャーではないけど素晴らしい所、特に自らの足や体力を使わないと行けない場所、冒険の匂いがよりする場所を選んだ。
このトモグヴィ城跡も冒険の匂いがプンプンしたので花の蜜に吸い寄せられる蜂のように自然にそこを目指していた。
しかし最初に言っておくが洞窟住居群ヴァルジアからトモグヴィ城跡を経由してトモグヴィ村までの道程は予想していた以上に険しい道のりで何よりもグーグルマップやマップスミーに半ば騙され、道を探しながらの過酷な行程だった。(正しい道があったのかもしれないが、マップ通りには行けなかった)
加えてその日の宿をトモグヴィ城の先のトモグヴィ村に取っていたので荷物を全て背負いながら何としてでも城の先の村まで辿り着かなければならなかった。
トモグヴィ城のある山の上から川を挟んで反対側に村があるのでどこかの橋を渡らなければ行けないし、そもそもそこまで山を登ると予想していなかったので過酷な道を下山しつつ橋を探した。(4時間強の行程)

この地域の気候は僕らが住んでいるクタイシとは全く異なり乾燥していて草木があまり育たない半砂漠地帯のような所。
朝晩は涼しいが日中は遮るものがなく強烈な太陽光が降り注ぐ荒涼とした大地
道も何もかもが乾いているので滑りやすくまた平坦な道がほぼないので思っていた以上に苦戦した。
乾いた荒涼とした大地をひたすら突き進み、山あり谷ありを越え、遥か先にそびえるトモグヴィ城を目指しながら進んだが、この時はまさかあんな上まで登ると思っていなかった。
事前の情報によるとトモグヴィ城下を通過するだけ、下からトモグヴィ城を見上げる感じになると書いてあったし、グーグルマップでもマップスミーでもそのようなルートだったはずだ。
しかし何とかたどり着いたトモグヴィ城眼下の道は通り抜けできなく、同じく途中で追い抜いて行った白人のお姉さんも引き返してきて、「この先どうやって行くかわかる?」と聞かれたほどだった。

マップをもう一度確認するとどうやら修正された道はトモグヴィ城裏を抜けて行くルートらしくその時点では「まさかあんな上まで行けるのか?それにしても急斜面過ぎないか?」と目を疑った。
とりあえず行ってみるしか方法はないのでお姉さんと共に子供達も必死で登ったが、途中でお姉さんは先に行ってしまいその後出会うことはなかった。
目で見える範囲まで必死で登り、その先に道が何とかあるのを確認しながらの連続はなかなかに体力面でも精神面でもきつい、ましてや子供が行けるのかを確認しながらサポートしながら登っていくのでこっちも挫けそうになる。
マップはここでは当てにならなく、その通りに行こうとすると滑落したりロッククライミングする必要がある。
自分達が通れそうな道を探しながら登る
運良く一番道がわからない所で反対方向から白人さんのグループが来てくれたのであの道を行けば良いのかとわかったのでラッキーだった。(おそらくさっきのお姉さんはそれがわからなく引き返したか違う道を行った)
それでも過酷な道には変わりなく、下を見ると断崖絶壁一歩踏み外したり、こけたら一巻の終わり。
結局のところ遥か天空にあったはずのトモグヴィ城跡の目の前まで迫り、本当に良くここまで来たと一時感動した。
しかしそこからがさらに過酷だった。
トモグヴィ城跡まで行ったのは良いがその後遥か眼下に見える川まで降り、橋を渡り反対側のトモグヴィ村まで行かなければならない。
マップが示している道は断崖絶壁を下るルート、俺たちに死ねと言うのか!
どこを見ても子供達が下れそうなルートは見つからなく、パートナーと口論になり諦めて引き返そうと言われた。
ただ引き返すにも3時間以上かかり+村までの道のりとなると日が暮れてしまうかもしれない。
「ここまで来て引き返すのか??」
もう一度下山ルートを探してみると粘り、何とかここならギリギリ下れるのではないか?と試してみようとパートナーの承諾を取り。
下ってみる、しかし大人達の心配は虚しく子供達は危険性など考えもせず滑り台感覚で面白がって滑りながら降りていく。
体勢をできるだけ低くし、滑っても前に行かないように必死に教えながら下って行くが、子供達は登りは苦手だが下りは何故か楽しみながら下る(やれやれ)

僕らが下れるルートで行くのでマップからは大きく外れかなり時間はかかったが、何とか川が近づいて来て、渡れる橋もそのうち見つかった。
橋はなかなかに長いのだが、ガタガタで所々穴があいていたり、ガクッと下の板ごと上下して危険極まりなかったがここを渡るしか道はなく、またしてもそんなリスクは考えもせず子供達ははしゃぎながら渡るのでこっちはヒヤヒヤさせられっぱなし
「まだ来るなよ、走るなよ、揺らすなよ、そっと渡れよ」を何度連呼したことか。
こうして目的地のトモグヴィ村まで何とか無事に到着した。
本当にきつかったけど子供達は今回もやり遂げた。
どうだったか聞くと「まさかあんな所まで行くと思っていなかった、ホンマに信じられない。まあ面白かった、城良かった、疲れた、お腹空いた」
これでまた一つ冒険を終えた
子供達はよりたくましくなり、たどり着いた村の犬や子供達とあそび周り、大人達も今回は筋肉痛もなく翌朝早朝から宿の人達と牛の乳搾りに出掛けた
どんどんワイルド一家になっていく
どんどん僕も含め黒くなっていく
黒すぎて子供達にオレオと呼ばれる
